田舎すぎず都会すぎない街で、女性が輝いている理由
5月21日「WOMAN EXPO TOKYO 2016」にて、講演「女性が輝くモノづくりのまち~子育て・教育環境日本一へ~」が開催された。来場者に向かって、「福井県越前市に行ったことがありますか?」という問いかけから始まったこのセッションでは、越前市が掲げるキャッチフレーズ「女性が輝くモノづくりのまち」を実現するためのさまざまな取り組みを紹介しました。そのプレゼンターとなったのは、越前市には縁もゆかりもなかったのに、旦那さんを説得してまでIターンしたという古賀さやかさん。その経緯を越前市の魅力とともに、日経BPヒット総合研究所長の麓幸子が迫りました。
越前市にひとめぼれして移住を決意!
越前市の市の花である菊の花の妖精で、秋の一大イベント「たけふ菊人形」のマスコットキャラクターである「きくりん」も見守るなか、トークショーはスタート。
日経ウーマンでは自分のふるさとではない場所にIターンする女性を「LOCO(ロコ)ガール」と名付けていますが、古賀さんもこの4月に移住したばかりのLOCOガールです。大学を卒業後、東京で働いていたものの、東京でのキャリアや生活に対して疑問を抱くようになり、26歳のとき故郷の熊本に戻りました。そこから再勉強をした後、福岡のFM局での勤務を経て、結婚後は佐賀県に移住して地元の観光協会に勤務。しかし、夫婦で越前市を訪れたところ、越前市にひとめぼれしてしまい、移住を決意したそうです。
越前市の求人倍率が高く、業種も多彩だったことからご主人を説得。一緒にIターンすることに。
「越前市には素晴らしい自然環境や京都かと思うぐらいお寺も多く、街並みも美しい。1500年もの歴史がある越前和紙など、伝統工芸品も日常生活に溶け込んでいる。米どころでお水や日本酒もおいしく、とくにそばはここにきて本当の美味しさを知りました」
街ぐるみで頑張る女性をサポートするから共働き率No.1
福井県は共働き率全国No.1。仕事を頑張っていきいき働いている女性が多いそうです。実際に会社や家族の理解を得て、退勤後に福井県立大学大学院の講義を受けてキャリアアップし、初の女性執行役員になった方や、NYや東京の企業とやり取りしながら1人のお子さんを育てるフリーのデザイナーなど、越前市の多様な働き方で自分が求めるキャリアを構築する女性たちの姿も紹介されました。
東京・熊本・佐賀と住んできた古賀さんから見て、街の様子も「田舎すぎず、都会過ぎない。豊かな自然がありながら、ショッピングセンターやカフェもある。1つで2度美味しい街です」といい、今後は越前市でマイホームを手に入れること、地元のランニング大会への出場などの展望も語ってくれました。
最後に古賀さんからバトンを受けた越前市産業政策課の上木江里乃さんは、雇用や子育てについての気になる制度についてフォロー。全国的に問題となっている待機児童がゼロであることは、上木さんも1歳の子供を持つ身になって、その素晴らしさを実感しているそうです。雇用面ではもともと繊維産業が盛んで、現在は先端産業に至るまで幅広い業種で発展しており、有効求人倍率が全国トップクラスであると紹介。加えて、越前市ではUIJターン就職奨励金制度、新婚夫婦の家賃補助制度など、よりニーズにそった制度を進めているそうです。
また、越前市職員のIターン・Jターン・Uターン経験者によって構成される市の行政組織に含まれないバーチャルな課「IJU課」が機能し、SNSで情報を発信したり、移住者が越前市に馴染めるようなイベントを開催するなど、交流面でのサポートも行っているそうで「越前市にぜひ移住してきてほしい」というメッセージで締めくくっていました。
文/北本祐子 写真/清水知恵子